東京都と東京メトロは2022年8月21日(日)、有楽町線(地下鉄8号線)の分岐線計画と豊洲駅の改良工事に関する住民向け説明会を初めて開催しました。
場所は千石地区の深川第四中学校体育館。
豊洲での説明会は8月25日(木)に予定されてますが、筆者はそれよりも先行して行われた千石地区の説明会に参加しました。
そうそう。いつの間にか延伸計画から分岐線計画へと名称が変わったのですね。
説明会では東京都都市整備局、江東区、東京メトロの各職員が登壇。
新たに明らかになった豊洲駅の改良計画や質疑応答の内容も含めて、主に豊洲住民に関係しそうな内容を中心にレポートしたいと思います。
これらはあくまでも素案で、本決定ではないことをあらかじめご了承ください。
資料は東京都都市整備局のホームページからダウンロード可能です。
豊洲駅のホーム・改札の改良工事が明らかに
驚いたのは豊洲駅の改良工事の中身です。
なんと、1番線の隣(北東側)にホームを1つ増設することが判明。↑の写真では、1番線の左に新しいホームができることになります。
これによって豊洲駅のホームは全部で3つに。つまり、ホームの構造が現在の2面4線から3面4線になります。
【参考】現在の運用
1番線 | 新木場方面いき |
2番線 | 不使用 |
3番線 | 不使用 |
4番線 | 池袋・和光市方面いき |
2022年8月現在、臨時の混雑緩和策として2番線と3番線は線路が閉じられていて仮設ホーム化し、1番線と4番線のホームが行き来できるようになっています。
ですが、いずれは利用者数の増加によって仮設ホームでも対処しきれないとの理由から、1番線の奥に新たな恒久型ホームの設置を決めたのです。
そして、この新ホームの設置に伴い、改札も新設します。
ただし、計画図をよく見ると新しい改札は既存の改札とは離れて設置されるようで、乗り換え時には少々面倒なことになりそうです。これはまだ素案とのことですから、ぜひ計画を修正して利用しやすくしてほしいと思います。
ホームの新設によって、ラッシュ時におけるホーム上の混雑を緩和できるほか、エレベーターなどを設置するためバリアフリー化も進めるとのこと。
豊洲でのトンネル工事には、地上から掘る「開削」も
分岐線の工事に伴い、豊洲では豊洲四丁目の地下を大きく掘ることになります。
工事にはよく聞くシールド工法のほか、「開削」と呼ばれる工法も行うとのこと。
開削とは、トンネルを掘るときに用いられるシールド工法と異なり、地上からゴッソリと地下深くまで堀り、そこに箱型のトンネルを埋める工法です。
なんと、豊洲駅付近ではこの開削を実施。
具体的な場所の説明はありませんでしたが、公開された資料によると、都市計画変更区間の“起点”からいきなり開削をすると示されています。
そこで分岐線の平面図を確認してみると、その“起点”はまさに豊洲小学校付近の「浦島商店(閉店)」「杏林堂薬局」や「パレットショップちばや」「永利 豊洲3号店」あたり。
少なくとも、浦島商店の前の晴海通りは開削が行われるでしょうし、そのためしばらくは車線の一部が通行止めになるはずです。
↓赤色の部分が新設されるところです。
住吉駅へと向かう有楽町線分岐線は豊洲駅を出たあと、豊洲小学校の下を通ってカーブ。
マンション「スターコート豊洲」「プライヴブルー東京」と「東京フロントコート」の間にある道路「特別区道 江257号」の真下を直進。
そして、豊洲運河をくぐり、枝川へ。
その先にある「特別区道 江63号」の地下を進み、「枝川橋東交差点」付近から「セブンイレブン江東枝川2丁目店」「深川消防署枝川出張所」のあたりにかけて「枝川駅(仮)」が新設されます。
枝川橋東交差点はまさに地質調査が実施された「枝川橋第三児童遊園」のすぐ目の前ですので、ここから枝川駅(仮)が始まってもおかしくありません。
有楽町線の延伸・分岐線の誕生はどんな効果がある?
そもそも、有楽町線の分岐線を作ることで生まれるメリットは何なのか。次の4つです。
- 臨海地域と東京圏北東方面のアクセス向上
- 東西線やその他路線の混雑緩和
- 万が一のときの迂回路の確保
- 鉄道空白地域の解消
これまで住吉駅と豊洲駅は近いのに2回も乗り換えなければならず非常に面倒でしたが、分岐線の開業後は乗り換え0回でつながるのでとても便利になります。所要時間は約20分だったのが約9分へと短縮に。
既存の有楽町線が事故や災害でストップしたときに、住吉や東陽町などからの迂回が可能になります。豊洲の迂回路といえば今まではゆりかもめだけでしたが迂回路が増え、万が一のときに役立つというわけです。
ちなみに、これらの計画はまだ素案であり、より具体的な計画については今後決定し、工事前には地域向けの説明会が行われるとのこと。
質疑応答まとめ
それでは、千石地域での説明会で住民側から出た質問と、その回答をまとめてお伝えします。一部、聞き取れなかった質問については割愛させていただきますのでご了承ください。
質疑応答
千石駅(仮称)の出入口は?
→2ヶ所を計画。
都営三田線にも千石駅という駅がある。千石駅(仮称)の名称は変えた方がいいのでは?
→これから決める。
京葉線との接続がないがなぜ?
→公共用地を通行することを基本にルートを作成した結果。
江東区は土壌汚染が多く、千石駅予定地は土壌汚染の問題で計画変更があった場所。そこを地下鉄が通るとのことで対策はどうするのか?
→今後調査し評価し、環境保全対策を行っていく。
水害への対策は?
→現在での出入口に高さを設けたりや止水板などを設置してる。想定の浸水地域には嵩上げを行うなど強化しており、設置予定駅にもそうしていく。
住吉駅〜千石駅間の単線シールド計画は、既存の住吉駅の半蔵門線の高さにあわせて単線シールドにするのか?
→そのとおりです。
深さは?陥没リスクは?
→地下鉄は5〜25mの範囲で掘り進める。安全安心な施工方式にしっかり基づいて実施していく。
シールド工法の種類は?振動の少ない工法でお願いしたい→
まだ具体的な工法・施工方面は決定していない。工事説明会のときには説明したい。
相互直通運転は?
→一部は有楽町本線に乗り入れて直通運転する計画。半蔵門線との運行計画はない。
豊洲駅の分岐線の構造は?
→まだ具体的な運用方法は決まっていない。
分岐線の運行本数は?
→通常8本・ピーク時12本の予定。
千石駅の出入口候補は?
→現時点では検討中。
誰が費用を出すの?
→国600億円、東京都1000億円、江東区94億円、メトロに補助。メトロは財政投融資を活用する予定。
分岐線の名称(愛称)は?
→まだ不明。
豊洲駅の新改札は完全に独立しているように見えるが乗り換えはどうするのか?
→そのとおり。独立した改札になる。乗り換えの運用や案内は今後しっかり検討していきたい。
分岐線の輸送人員は?
→具体的な詳細は公表を控えるが、メトロとしては有楽町線全体で1日あたり30万人を推定している。