虎ノ門〜晴海間での運行を開始してから2021年10月で1年が経過した「東京BRT」。京成バスが運行事業を担当し、整備については東京都都市整備局が行っています。
現在実施しているのはプレ運行一次で、あくまでも仮の運行ルート。2022年度に環状2号線トンネルが開通し、2024年に晴海フラッグのまちびらき後には都心と湾岸を結ぶ4つのルートでの本格運行が開始予定です。
都の計画では、次のステップとしてプレ運行二次が東京2020大会後にスタートすることになっており、その運行ルートには豊洲の停留所も含まれています。
しかし、2021年10月現在いまだに豊洲停留所は着工せず、年内に東京BRTが豊洲に停車する気配は感じられません。
プレ運行一次、プレ運行二次を経て、本格運行を開始する東京BRTのプランは今どうなっているのでしょうか。
整備を担当する東京都都市整備局都市基盤部交通企画課に問い合わせてみました。
東京BRT、豊洲での運行時期は白紙
ーー もうプレ運行二次が始まる時期だと思いますが、豊洲の停留所がまだまったく動きがないのは何か問題でもあったのでしょうか?
「豊洲に限らず他所の停留所に関しましても、工事に関わる関係各所と調整中のためまだ停留所に着手できていない状況です」
2021年9月に東京2020大会が終わり、本来ならばプレ運行二次の開始がアナウンスされてもおかしくない時期。それなのに対象の停留所はまだ影も形もありません。
これでは東京BRTの計画にズレが生じているのでは?と不安に思うのは筆者だけではないでしょう。
筆者の知りたかった運行時期について聞いてみました。
ーー プレ運行二次の運行開始は具体的にいつごろになりますか?
「停留所が未着工ですし、申し訳ありませんがまだ皆さまにプレ運行二次の開始時期をお知らせできる状況にありません」
との回答でした。つまり、運行時期は白紙であると言えます。やはり、計画に遅れが出ているのか。
ーー オリンピックの延期や周辺施設の建設遅れとかも影響しているのかもしれませんが、東京BRTさんの計画に遅れが生じているような雰囲気が感じられます。プレ運行二次がまだスタートできない原因は何なのでしょうか?
「特にどこかの企業や施設が影響しているというわけではなく、工事に関わる機関との調整や、正着制御装置や関係各所との協議など、さまざまな調整を進めているところでしてお時間がかかっています」
ーー それまではプレ運行一次が継続されるという認識でよろしいですか?
「はい、そう・・・なりますね。お住まいの方々にはご迷惑をおかけいたしますが、プレ運行二次のお知らせできる時期になりましたら公式サイト等でアナウンスさせていただきます」
筆者が質問した内容と、それに対する回答は以上のとおりです。
このことから、東京2020大会のあとに運行開始を予定していたプレ運行二次は2021年内の運行は難しいでしょうし、確実に年明け後の2022年以降となるでしょう。
東京BRTの運行が後ろ倒しとなれば、湾岸エリアの住民はもちろん、ミチノテラス豊洲(メブクス豊洲)や豊洲市場・千客万来施設、有明ガーデンなどの施設や周辺マンションにも大きな打撃となるはずです。
【参考】プレ運行二次 運行ルート
運行ルート | 停留所 |
---|---|
幹線ルート | 虎ノ門・新橋駅・勝どき・晴海五丁目・市場前駅・有明テニスの森・国際展示場駅・東京テレポート駅 |
晴海・豊洲ルート | 虎ノ門・新橋駅・勝どき・晴海三丁目・晴海二丁目・豊洲駅・市場前駅 |
勝どきルート | 新橋駅・勝どき |
東京BRTは本格運行できない可能性が浮上
実は、晴海地域の話題やマンション関連の情報を発信されているハルミズムさんが昨晩(10月20日)、Twitterでこのような投稿をしていました。
【驚愕!】BRTのプレ運行2次、実は運行開始時期も何も決まってないらしい。このままだと本格運行なんて夢のまた夢。
晴海フラッグやメブクス豊洲の交通アクセスに大きく影響するけど大丈夫なんだろうか?#東京BRT pic.twitter.com/aZz7eBH2zU— ハルミズム (@harum_ism) October 20, 2021
その後、これが信憑性の高い情報であることを確認。
東京BRTは計画の遅れだけでなく、もしかしたら運行計画そのものが白紙になるかもしれない状況だそうです。
今回、この投稿を拝見してから都市整備局に問い合わせたのですが、都市整備局から聞いた内容とあわせてとにかく東京BRTの雲行きが怪しくなってきたことは大きな懸念点です。
もし、このまま東京BRTが本格運行できなければ、2024年3月下旬から入居の始まる晴海フラッグの住人は交通手段をひとつ断たれることとなります。
湾岸エリアのプロジェクトは東京BRTの開通を視野に入れているものも少なくなりませんし、さまざまな分野で見直しが必要に。
たとえば、すでに営業を開始している「WeWork Daiwa晴海」も、目の前に東京BRTの停留所ができることを当時から期待していて、虎ノ門への移動が容易になることをウリのひとつにしていました。
環状2号線トンネルが開通し、東京BRTが走り、電車がない場所からも新橋や虎ノ門へのアクセスが高まり、便利になると期待していたのに非常に残念です。
このまま悲観していても仕方がありません。住民が声を挙げることで事態が好転すれば良いのですが、なかなか一般人には難しいことでしょう。
こんなときこそ住民の声を代わりに届けてくれる議員さんにはぜひ頑張っていただきたいです。