江戸時代、五街道の起点として知られる東京・日本橋は実は海とつながる船の通り道でもありました。運河の整備が進められ、そのためにどんどん埋め立てが行われていったんですね。土砂の多くは隅田川から持って来ていました。
そんな大昔から埋め立てられてきた東京。中央区の築地も月島も、江東区の豊洲や有明も埋め立てによって生まれた土地です。
「特に江東区の湾岸は近代化と復興を支えてきた重要な地域であり、そして、未だに土地が増えてる珍しい自治体なんです」
と言うのは芝浦工業大学建築学部教授の志村秀明氏。
志村先生はNHK「ブラタモリ」で豊洲が特集された際に町案内人として出演された、まちづくりを研究されている先生です。
今回、2019年6月8日に行われた芝浦工業大学の公開講座では、志村先生がご自身の著書「東京湾岸地域づくり学」をテキストとし、数々のスライド資料を用いながら、まるでNHK「ブラタモリ」のような魅力ある楽しい授業をしてくださいました。
地域とは街の区切りではない
有料の公開講座だったため詳細を記事にすることはできませんが、湾岸エリアの成り立ちや、どうして今のような文化が根づいたのか、また、地域の特色を活かしたまちづくりの例など、私達が住んでいる湾岸エリアの興味深いお話を聞くことができました。
なかでも非常に心を打たれたのが“地域のとらえ方”です。
「町の名前で町を区切るのではなく、人やこと、つながってるネットワークなど、関連してるものをひとつの地域ととらえるべきであり、まちづくりは部分ではなく人のつながり全体を地域とし、グローバルに見ておこなっていく必要がある」
「都市の意味とは、歴史的文脈の結晶であり、人間的な空間の積み重ねです」と。
筆者の友人に、神奈川県に住みつつも東京・佃の街が大好きでわざわざ何度も通っているという人がいます。そういう人を含めてみんなで地域の将来を考えていく。
志村先生のおっしゃっている地域づくりとはきっとこのことをいうのだと思います。
豊洲でいえば、豊洲の住民だけでなく、他の町や外国人、豊洲が好きな人、豊洲で活動している人、豊洲と関わる人も“地域”の一員なんです。そこに境界はありません。
自分にできることをやっていきたい!
筆者は日々どんどん変化していく豊洲のことが大好きです。こんなに変化の激しい街は全国にそう多くはありません。
そんな豊洲の情報を発信しているこの「とよすと」が読者の皆さまのお役に立てていればとても嬉しいのですが、今回この公開講座を受けたことによって、これからも地域の情報を発信しつつ、豊洲や湾岸エリアをより魅力的な街にしていくお手伝いをさせていただきたいなと思いました。
もし、読者の皆さまのなかで、まちづくりに興味のある方や湾岸エリアの成り立ちなどが気になった方はぜひ志村先生の「東京湾岸地域づくり学」をご覧いただくと良いでしょう。
豊洲だけでなく佃や月島といった地域のお話がたっぷり載っていて、湾岸地域の歴史を知ることができ非常に面白かったです!