豊洲商店街に加盟し豊洲で唯一の魚屋である「魚や かとう」が、2023年10月31日(火)をもって閉店します。
1968年に開店して以来、近隣の住民や保育施設などから愛されてきた魚屋だっただけに、残念に感じる方も多いことでしょう。
商店街のスタッフさんからこのことを聞いた筆者はビックリしてすぐにお店に駆けつけると、店主の加藤敏夫さんが閉店の理由を教えてくれました。
ハードな仕事も、お客様に支えられて55年
魚屋の仕事はけっこう腰に負担が掛かっているのだそう。
「もう72歳だしね。跡継ぎもいないし、自分が元気なうちに店を畳んでさ。あとは第二の人生を楽しもうかと」
魚や かとうの営業日は豊洲市場の開市日とほぼ同じ。
加藤さんは午前2時に起きて、4時には豊洲市場へ。場内でじっくり1時間ほど歩き回って魚を仕入れます。
市場から帰ってくるとすぐに店に入り、子どもたちが食べる給食用に魚の仕込み。これまで多いときには16もの保育園・幼稚園にお届けしていたのだとか。
そのあとは”開店”に向けての仕込み。お店は15時から19時まで営業します。
こういったハードな仕事をずっと続けているのですから、そうとう大変だったのでしょう。
「お客様には悪いと思うけど、もう55年もやりましたからね。十分やったんじゃないかな」
先日は6年ぶりに富岡八幡宮例大祭で神輿連合渡御が開催されましたが、加藤さんはその富岡八幡宮神輿総代連合会の副会長を務め、2022年の年末には豊洲町会の会長にも就任。お店以外にもいろいろと忙しそうです。
「今後はお祭り、任期のあるうちは豊洲町会のほうも頑張らないとね」
と。突然の取材にもかかわらず、特に険しい表情や寂しい表情もなく、むしろ笑顔でお話してくださいました。
豊洲市場の魚を刺身盛りにして自宅で味わえる
魚や かとうはその名のとおり魚屋さん。
みんなが食べやすいようにと、鮭の切り身や、焼いてすぐ食べられる銀さわらの照り焼き、あじ酢など、あらかじめ加工してくれている商品を多く並べているのが特徴。
加藤さんの人柄がお店そのものに表れています。だからこそ、子どもからお年寄りまで、たくさんのお客さんに支持されてきたのでしょう。
筆者はこれまで、あらかじめパック詰めされたまぐろのブツや切り身を購入したことがありますが、そういえば刺身盛りはまだ注文したことがなかったことに気づき、この日初めて刺身盛りを作ってもらいました。
夜に再訪。そして、受け取った刺身盛りがこちら!
まぐろ、アジ、イカの3点盛りです。
しかも、まぐろはすべて中トロ!全体に脂が程よく乗っていてご飯が進みます。お酒との相性も言うまでもなくバッチリでしょう。
さばいたばかりの肉厚なアジは生姜醤油で。イカのこりこりした食感もたまりません!
2人前をオーダーしたのですが、なんか凄くおまけしていただいちゃったみたいで、今回のお値段は参考にならないと思いますので言えません(笑)
注文時には、◯◯円くらいで作ってください、◯人で食べます、などと言って注文すれば、それにあった内容で盛り合わせを作ってくれますよ。
基本的には、事前に注文しておいて翌日以降に受け取り。電話注文はNGで、店頭での注文となります。
空いているときはその場で盛り合わせを作ってくれる場合もありますが、やっぱり事前に注文しておくのが安全でしょう。
お店を閉めるまでまだ1ヵ月ほど日がありますので、もし刺身盛りが食べたい方は絶対に早めに予約しておくと良いでしょう。
もちろん、冷蔵ケースに並んでいるのを買うのも良し!散歩のついでに訪れて、次回の刺身盛りを注文するのもありです。
豊洲で55年続いていた魚屋がなくなってしまうのは非常に寂しいですが、これまで忙しい日々を過ごされてきた加藤さんには第二の人生をたっぷり楽しんでほしいと思います。長い間お疲れ様でした。
最終営業日は2023年10月31日(火)です。
【魚や かとう(加藤商店)】
■営業時間:15:00〜19:00
※15:00までは仕込み時間
■定休日:水・日・祝・毎月28日
■住所:東京都江東区豊洲4-7-7(MAP)
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