東京都の総務局行政部は2017年10月16日夕方、都の臨海部に位置する約500ヘクタールもの人工島「中央防波堤」がどの区にも属していない現状について、帰属を求めていた江東区にその86.2%を、同じく帰属を求めていた大田区に13.8%を割り振るとの調停案を示しました。
→ 中央防波堤内側埋立地及び中央防波堤外側埋立地の境界に関する調停について(報道発表/PDF)
今回ほとんどが江東区の土地と認められた理由を簡単に解説しますね。
中央防波堤埋立地は都内で発生したゴミで埋め立てられた場所で、廃棄物の処分地によって生まれた人工島です。それら廃棄物の処分については多くを江東区で処理し、区内を通って埋立地へと運搬されてきました。大田区も廃棄物の一部を運搬しています。
ただ、どちらもゴミの運搬や処分は帰属の判断材料にはならないとする当初結んだ覚書があるため、今回の帰属理由にはなっていないもよう。
一方、面白いのが中央防波堤埋立地との関わり合いです。
江東区からは中央防波堤埋立地へ路線バスが出ていますし、江東区青海からトンネルや中防大橋が通り、江東区若洲からは東京ゲートブリッジでつながっているほか、さらには中央防波堤埋立地への上水、ガス、電力は江東区から供給され、下水は江東区で処理されています。
大田区は昔からこの近辺で漁業を営んできたことを主張していますが、漁業は陸上で行われるものではないとの理由で帰属の判断材料として認めらませんでした。
このインフラ面で見た江東区とのつながりが帰属面積を決定づけた理由なのかなと思われます。
なお、中央防波堤埋立地における大田区側の水域(南西側)は同区の地先水域であることを明記しています。
揉めに揉めまくった中央防波堤埋立地の帰属問題ですが、江東区側は納得したものの大田区側が反発してすぐには決まらないかもしれません。しかしながら、都が出した調停案はおおよそ想定の範囲だったようで、今後、この土地がどのような場所に生まれ変わるのかが楽しみで仕方ありません!
2020年の東京オリンピックでは競技会場にもなり、「海の森」もここに整備されることになっています。
→ 東京オリンピック