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あなたはいつまで自宅避難できる?展示「明日の危機 ~首都直下地震編~」がメブクス豊洲で開催 12月17日まで

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大事な話なので今回はかなり真面目なトーンになってしまうのですが、とよすとの読者さん全員に足を運んでもらいたい展示が2022年11月17日(木)よりスタートしました。

豊洲スマートシティ推進協議会が主催する交通防災まちづくり社会実験『明日の危機 ~首都直下地震編~』という展示です。

場所は、ミチノテラス豊洲・メブクス豊洲の2階「ミチラボ」。

大地震がテーマのこの展示。早速取材してきたのですが、“もし想定以上の長期間被災したら自分はどうしたらいいのか”を考えるきっかけになりました。

ちなみに、2022年3月までは豊洲4丁目で“水害”がテーマの『明日の危機 江東区防災ミュージアム』が行われていましたが、今回は大地震をテーマにして展示になっています。

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被災時「うちは大丈夫」だけどアナタは大丈夫?

湾岸エリアの比較的大きいマンションでは災害時に困らないよう物資を備蓄したり、非常時の電源を備えていたり、また、皆さん各自の自宅で食糧を備蓄してしっかり備えているかと思います。

でも、何日間それを我慢すればいいかは想像できません。地震の規模や住んでいる環境、備えのレベルにも左右されることでしょう。

性格上あまり煽るような内容は書きたくないのですが、すみませんが防災に関することなので思い切り書かせていただきますね。

  • どこか心のなかで勝手に「3日間我慢すれば元の生活に戻れる」「インフラ被害は3日間で復旧する」と決め付けていませんか?
  • 絶対に止まらない水道・ガス・電気設備が備わっていても、その元となる浄水場やガス施設、発電所が被災してストップしたらどうなりますか?
  • 翌日には電気が本格復旧すると思っていませんか?
  • 子どもを連れて配給所へ行き、重たい給水タンクや食糧を持って自宅を往復する自分を想像できますか?
  • たとえ車を持っていても、晴海通りが大渋滞や地割れで通行できなかったらどうしますか?
  • 自分がたまたま電車で出かけているときに大地震が起き、交通がマヒして帰れなくなったら、自宅に残っている子どもたちは一晩どう過ごしたらいいか考えたことはありますか?

といった感じで、とことん最悪なケースを想定しながら上記を挙げてみたら自分はこんなにネガティブマンだったのかと嫌になりましたが、たぶん平和ボケしているよりかは最悪な場合をイメージしながら対策を練るのが良いはずなので、下書きから削りませんでした。

十分に備えていても、きっと被災したらメンタルはボロボロになるでしょう。それでも備えは必要です。

余裕こいて何もしないのではなく、“最悪の事態”でも生きられるよう準備する。そのために様々なシーンをイメージして、対応を考えるべきです。

何日後にどうする、気付かされる「タイムライン」

この展示「明日の危機 ~首都直下地震編~」は、大地震で被災したときに、自分は自宅避難で何日間過ごせるのか、避難所へ移動した方がいいのか、また、帰宅困難者となったときにどうすればいいのかなどを、それぞれの立場から考えるきっかけになる社会実験。

展示を訪れたときにじっくり時間をかけて見ていただきたいのがこちらのタイムラインです。

“さあどうする?”がひと目でわかる行動表になっており、日数の経過にしたがって検討すべき・行動すべき事項が載っています。

ひとつの項目ごとに「はっ!」と考えさせられ、他にも展示があるのにこのタイムラインだけでもずいぶん時間を割いてしまうほど見入ってしまいました。

おそらく写真だと見づらいので、ぜひ会場を訪れてご覧頂きたいと思います。

豊洲は避難民を十分に受け入れられる安全性

いわゆるゼロメートル地帯と言われる江東区の北側や東側にお住まいの方たちは、いざというときに南側の豊洲・有明方面へ避難することが推奨されています

その理由はハザードマップからも明確で、豊洲や有明は災害リスクが極めて低く、さらには避難してきた人たちを十分に受け入れられる施設が多くあるからです。

逆に、安全でなければ避難所は意味をなしません。

(大地震と同時に水害が起こっても湾岸エリアは安全です)

ここミチノテラス豊洲(メブクス豊洲)や豊洲市場も対象施設ですし、東京2020大会のレガシーである複数の競技場も避難所となります。帰宅困難者の一時的な受け入れもです。

そして、ミチノテラス豊洲は「都市型道の駅」として整備された施設なので、各地への疎開に使える交通拠点となり得る機能をすでに備えています。

実は、首都直下地震の被災者救済において、豊洲から地方へ疎開するシナリオも想定されているのです。

自宅避難から疎開するという選択肢も

豊洲など湾岸エリアの多くは自宅避難が推奨される地域です。しかしながら、それが長期間となると話は別。いつまでも自宅避難するのが正しいとは限りません。

食糧備蓄がない、もしくは3日分の食糧がいよいよ尽きた場合、あるいはインフラが7日間経っても復旧しなかった場合など、不便をずっと我慢しているよりは身寄りのある他の地域(被災していない地域)へ疎開した方が良いとも言えるのです。

この展示の構成を担当した國學院大學の観光まちづくり学部地域マネジメント研究センターの児玉千絵 専任講師は、

「ご家族が入院していたり自治体関係者だったりどうしてもこの地を離れられない人を除き、動ける人は早々に疎開するのも選択肢のひとつ」と言います。

移動できる方は移動しましょう、というわけです。

「運ばれてくる支援物資や食糧は決して十分な量とは限りませんから、移動できる方が都合が良いのであれば無事な地域へ一時的に移って、それらを必要な人に譲ることも必要になるでしょう」(児玉氏)

豊洲で帰宅困難になったらシェアモビリティを活用

備えるべきは住民だけではありません。豊洲に通勤・通学時、もしくは豊洲へ遊びに来ているときに帰宅困難者になる人もたくさん想定されます。

しかし、豊洲駅周辺のビルや商業施設では受け入れ人数がオーバーして中に入れないこともあるでしょう。

ちょっと距離がありますが、メブクス豊洲や豊洲市場への避難も念頭に置いておくと良いです。

「その距離を埋めるためにも、いざというときにはドコモバイクシェア(自転車)やLuup(電動キックボード)といったシェアモビリティが役立ちます。防災と交通を将来的にひとつに結びつけようと進めているのがこの展示をやっている豊洲スマートシティ推進協議会です」(児玉氏)。

自家用自転車に乗っているときに被災するとは限りませんので、活用できるものは活用する。今思えば豊洲周辺には便利なモビリティがたくさんありますよね。

ただ、緊急時にいきなり乗ろうと思っても乗り方がわからなかったりするので、事前にアカウントを作って普段から乗っておくと困らないと思います。

重い荷物も運べる新型自転車の展示も

運河に囲まれた豊洲では、道路が使えなくなったときに緊急支援物資や食糧を舟運を利用して運ぶことも想定されているようです。また、水は給水所が設けられます。

道路はひび割れて自動車が使えないなか、私たちは足を使って船着き場や給水所まで食糧や水を受け取りに行くことになります。

そのようななか今回の展示で特に目を引いたのがこちらの三輪自転車。

エンビジョンの「STREEK」といい、60kgまでの物資を載せて走れる電動アシスト自転車です。

当然ながら運転免許は不要で、安定して重い荷物を運べるよう開発されました。

この12月より50台を先行販売する予定で、来年から一般販売を始めるとのこと。価格は40万〜60万円ほどだそう。

これなら水や食糧をたっぷり載せても、フラフラせずに自宅まで運べそうですね。

防災・避難時に役立つプレゼントが当たる

このほか、展示会場には自分の職場や自宅にピンを挿して帰宅ルートを可視化するボードがありまして、多くの人のピンが集まるといろいろな帰宅ルートが見えて面白そう。

また、帰宅困難者が過ごすときに与えられる2人分のスペースを実際に見ることもできます。

(帰宅困難者に与えられる2人分のスペースは想像以上に狭め)

あまりにも狭いですが、最大72時間はここで待機できて雨風を防げるのはありがたいですね。

展示を見た後にアンケートに答えるとくじ引きができ、防災や避難時に役立つ便利アイテムが当たります。

(なんと、筆者は空気を読まずに2位を引き当てて救急セットの入ったバッグをいただきました)

「明日の危機 ~首都直下地震編~」の展示期間は2022年12月17日(土)まで。日曜日・祝日を除く毎日実施しています。

11月19日(土)にはミチノテラス豊洲で毎月恒例の「豊洲場外マルシェ」もありますし、マルシェのついでに展示を見に行くのも良いでしょう。

さらには、12月17日(土)は一般参加者を加えての防災イベントも開催するようなので、こちらもぜひ参加してみてください。

(ミチノテラス豊洲・メブクス豊洲2F「ミチラボ」)

 

【明日の危機 ~首都直下地震編~】
■期間:2022年11月17日(木)~12月17日(土)
■時間:10:00~16:00
■休館日:日・祝
■場所:ミチノテラス豊洲・メブクス豊洲2F「ミチラボ」(MAP
最寄り駅:ゆりかもめ「市場前」駅徒歩1分
■展示構成:國學院大學 児玉千絵 専任講師

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