中央区晴海と江東区豊洲をつなぐ春海橋に並行してかかり、現在は通行禁止の「旧晴海鉄道橋」が遊歩道として生まれ変わります。
産業遺構の好きな方や鉄道ファンからは東京都港湾局専用線の“晴海橋梁”と親しまれているこの場所ですが、歴史的価値を残しつつバリアフリーに配慮した遊歩道になり、誰でも通行できるようになるのです!
東京都港湾局はボロボロになった鉄道橋に再び命を吹き込むため、2021年2月より“令和2年度旧晴海鉄道橋耐震補強工事”を開始しています!
旧晴海鉄道橋とは?
旧晴海鉄道橋は1957年(昭和32年)〜1989年(平成元年)に臨港鉄道東京都専用線「晴海線」が運行していた鉄道専用の橋です。
かつて晴海線は「豊洲線」とともに「深川線」のひとつとして戦後から高度経済成長時代にかけて日本を支え、資源や食品などを運ぶ貨物線として非常に大きな役割を担いました。
湾岸エリアで最後まで走っていた晴海線の廃線から30年以上が経過しましたが、画期的な構造でできた鉄道橋だったことから今も晴海と豊洲の間にそのままの姿で残されています。
このとおり、線路も敷かれたままです。
日本初、連続PC桁とローゼ桁を採用した鉄道橋
旧晴海鉄道橋は日本で初めて連続PC桁とローゼ桁を採用した鉄道橋。歴史的価値から、建築に携わる方々や鉄道ファンから高く評価されています。
しかし、連続PC桁とかローゼ桁と言われてもパッと理解できませんよね(^_^;) PCってパソコンの略じゃないだろうし、きっと橋や建築に詳しくないと何がスゴイのかまったくわからないでしょう。
筆者もわからなかったので、記事化するにあたり改めて調べてみました。
通常のコンクリートは引っ張られる力に弱いです。上部から荷重がかかると下部がたわんで横方法に引っ張られる状態になり、ひびが入りやすい性質があります。
一方、PC(プレストレスト・コンクリート)はあらかじめ横から圧力をかけてギュッと縮めて作ったコンクリート。荷重による力を打ち消す特長があり、たわみません。
旧晴海鉄道橋は連続したPCの桁(走行路面)でできています。荷重に強いため、この上を重い蒸気機関車が通行してもひび割れしないのです。
また、旧晴海鉄道橋の中央にある赤いアーチ部分はローゼ桁と呼ばれます。太いアーチ部材の下に付いている細くて強い柱によって桁を支えているのが特長。
それらの工法を日本で初めて鉄道橋に採用したのが旧晴海鉄道橋なのです。
遊歩道になる旧晴海鉄道橋、通行できる時期はいつ?
では、いつになったら旧晴海鉄道橋の上を歩けるようになるのでしょうか。今からとても楽しみですよね!
この記事を書いている段階ではまだ晴海側の下部の耐震補強を行っている初期段階に過ぎません。
今後、豊洲側の耐震補強を実施し、そのあとに上部の工事、そして遊歩道を整備する順序となっています。
現在判明しているスケジュールは次のとおり。
旧晴海鉄道橋の工事スケジュール
時期 | 工事内容 |
---|---|
2021年2月〜2022年1月下旬 | 耐震補強工事(晴海側) |
2022年春〜2023年春 | 耐震補強工事(豊洲側) |
2024年春〜 | 上部の工事と遊歩道の整備 |
上記のスケジュールから、私たちがここを歩けるようになるのは早くても2025年ごろだろうと予想します。
最終的にパークタワー晴海の横から旧晴海小野田レミコンの護岸周辺にも歩道が整備されれば、晴海側の晴海臨海公園と豊洲側の春海橋公園が旧晴海鉄道橋によってつながります。
さらにはららぽーと豊洲や豊洲ぐるり公園とのアクセスが増し、買い物や散歩しやすい環境が整います。
すべての工事を終えればここが歩けるようになるなんて、今から楽しみすぎます!