2025年8月23日(土)・24日(日)の二日間、中央区立築地社会教育会館を会場にスポーツ栄養学&料理教室ワークショップ「パラアスリートと料理教室 おいしく食べて強くなろう!」が開催となりました。
パラスポーツを応援する東京都のプロジェクトTEAM BEYONDが主催するこのワークショップに、ブラインドサッカーの鳥居健人選手が登場!
パラアスリートと料理しながら“強くなる秘訣”を学べるこのイベントに、一般応募の中から当選した親子が多数参加しました。
パラスポーツイベントや今年11月に開催の東京2025デフリンピックは、ここ湾岸エリアでも啓蒙活動が盛んなテーマです。
そこで、とよすとではこの料理教室の24日(日)の回を取材してきましたので、レポートしたいと思います!
強い体をつくるのは栄養バランスの良い食事

前半は座学の時間。世界で活躍するトップアスリートは強い体をつくったりメンタルを維持するために毎日どんなご飯を食べているのでしょうか。
まずは、本日のゲストで登場したブラインドサッカーの鳥居選手がどんな凄腕の持ち主なのかをご紹介。
会場の子どもたちにお手伝いしてもらい、あちこちにパスされたボールの位置を鳥居選手が追います。

なんと、目が見えないのに、ボールの場所を瞬時に把握。
そして、ボールをパッとタッチするまでのスピードがすごい速いのです・・・!

空間認識能力の高さがポイントと言われるブラインドサッカーで、鳥居選手の持つスキルの高さにみんな驚いていました!

「大きな体の選手と試合をするときはぶつかり合う場面があるので、強い体、負けない体をつくることがすごく大事なんです」と言い、続いて会場のみんなにクイズを出題!
栄養学に関するクイズです。

このように強い体を作るには一体どんな食事をしたらいいのか?やっぱり重要なのはタンパク質の多い食事でしょうか。
料理の絵が描かれたシールを貼って回答してもらうと・・・魚やら野菜やらを貼ってくれた子どもたちが多数!

スポーツ栄養士の秋葉美佳さんは、
「みなさん給食食べますね?給食の献立表には赤黄緑が書いてあると思います。赤がタンパク質、黄色が炭水化物、緑がビタミンです。それらが入ってる食事がバランスが良い食事の第一歩!たとえば、朝食にミニトマトとかを加えたら簡単にビタミンを加えられます」とアドバイス。

そして、鳥居選手はというと・・・
「バランス良く栄養が摂れるように僕はこういった物を食べています。ブロッコリーが入っているのは僕自身がブロッコリーが好きなのでここに加えています!」と、写真のようなメニューを回答してくれました。

朝食にはシリアルやヨーグルトといった簡単なもので済ますこともあるそうですが、やっぱり栄養バランスを意識したメニューを心がけているのだそうです。
目の見えない鳥居選手が「鶏回鍋肉」をつくる!

後半はお待ちかねの料理!「強い体を作るレシピ」をテーマに、鳥居選手が「鶏回鍋肉」を作ってくれました。
豚肉ではなく鶏肉を使う理由は、鶏が好きで、豚肉よりも効率良くタンパク質が摂れるからだそうです。

エプロンの裏表を逆に着てしまったのを会場の子どもに突っ込まれるなど、イベントは終始和やかな雰囲気でした!
実はNHKの料理番組「サラメシ」にも出演したりと、昔から料理が得意だという鳥居選手。
でも、全盲で目が見えないのに一体どうやって料理をするんでしょう?

キャベツは手を使って、同じサイズになるように千切る!これがコツ。
「たとえ大きく千切ってしまっても、キャベツは火を入れると小さくなるので大丈夫だよ」と、小さいことは気にすんなの精神。
100グラムずつなど細かい分量計算が必要な料理をするときは、音声で量を読み上げてくれる“計り”があるのでそれを使っているのだとか。そういう調理器具があるんですね〜。

現在34歳で、中学生のころから料理をよくやっていたという鳥居選手。包丁だってこのとおりです。ねぎを等間隔に切れる見事な包丁さばき!

そうそう。今回の鶏回鍋肉で使用するのは鶏もも肉です。タンパク質としてはむね肉が良いんですが、美味しさを優先してもも肉に。
「栄養を考えつつも、大前提として美味しく楽しく食べることがすごく大事だと思っています」という鳥居選手。
では、お肉の火の通りとか火加減はどうしているんでしょうか?

「火加減はお肉のぬめりとかザラザラ感とか、手で触って判断していますよ」と、熱したフライパンに乗ったお肉を実際に手で触りながら調理を進めていました。
鳥居選手が披露する数々の料理ワザにビックリする会場。もちろん、筆者も驚きました!
このあと、参加者もこの鶏回鍋肉にチャレンジするのですが、「目隠しして視覚以外の感覚を意識して体験してもらいたいです」と会場にエールを送りました。

鳥居選手が作った実際の鶏回鍋肉がこちら。見事な出来で、美味しそうです!

参加親子も目隠し料理にチャレンジ
さて、いよいよ会場にいる親子も鶏回鍋肉に挑戦!
全盲の鳥居選手がどのような感覚で料理をしているのかを体験するため、参加者もアイマスクで目隠しをしてキャベツをちぎります。

なかには普段はなかなか料理をしないご家庭もいて、このように親子で料理ができたことを心から楽しんでいる方々の姿もありました!

キャベツはうまく千切れたかな?
フライパンに火が入ると、良い香りが漂ってきます!!

うぅ〜、ただ撮影しているだけの筆者はお腹が空いてきてヤバい(笑)

ひとつのメニューを最初から最後まで本格的に作るといった行為が初めてだった子どもも少なくなかったようで、夏休みの良い思い出になったのではないでしょうか!

味の素のCook Doの回鍋肉を使って仕上げ。これで味付けは間違いないでしょう。

各自で調理スピードはバラバラでしたが、早く作り終えた人から実食です。
会場では白飯とスープも用意され、しっかり鶏回鍋肉定食としていただくことができました!

良い食べっぷり。相当美味しかったんでしょうね!

親子で楽しみながら作った鶏回鍋肉の味はきっと格別でしょう。

写真を整理しながら、完全に頭のなかが回鍋肉に。今夜は豊洲の中華屋さんで回鍋肉を食べるしかない・・・。

参加してみた方々の感想を簡単にご紹介しますね。
「調理、上手にできました!グー!」と、美味しそうに鶏回鍋肉を頬張るお子さん。
「子どもは家だとあまりやらないんですが、自分で作った料理は美味しいんでしょうね」と、隣の参加者さんとお話しているお父さん。
「お母さんはあまり料理しないけど美味しく作れたと思います」と、お母さんを褒めるお子さんも。
みなさんとても楽しそうでした!

会場のお母さんから「これから挑んでみたい料理は?」と聞かれた鳥居選手は、
「魚が好きで、魚をさばけるようになりたい。今は処理をしてあるのを買っていますが、そのままの魚をさばくところからやってみたいですね!」
鳥居選手の料理スキルは伸びシロしかないようです。
参加者の皆さんは鳥居選手やブラインドサッカーを身近に感じられたのではないでしょうか。ぜひブラインドサッカーの応援をよろしくお願いします!

鳥居選手が参加者の女の子から「がんばれー!がんばれー!」と応援してもらう場面も。
ということで、パラアスリートと楽しむ料理教室は大盛況で幕を閉じました。最後に記念撮影をパシャリ。
このほか前日23日(土)の回にはパラ水泳の鈴木孝幸選手が登場し、会場のみなさんと麻婆豆腐を作ったようです!
