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豊洲が好きだから。豊洲市場のどうでもいい問題が生む誤解を解消したい

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とよすとは豊洲で暮らす人、働く人、遊ぶ人に向けて情報を発信する地域メディアとして筆者であるアスカがひとりで運営しています。

豊洲市場の問題は大きく取り上げるつもりはありませんでした。筆者は建設や環境の知識は素人ですし、市場関係者でもありません。しかしながら、豊洲の街全体が風評被害にあうようになってくると話は違います。

先日、「豊洲のタワマン(タワーマンション)買いたいから、風評被害で値下がりしてくれないかな」といったコメントが寄せられました。正直ショックで、この言葉がずっと頭から離れません。

そもそも、豊洲市場のある豊洲6丁目は昭和の中盤になってから生まれた豊洲エリアの端にある土地で、ここで東京ガスがガス製造をし、製造廃止後に汚染が発覚しました。後にも記載しますが、さらに、汚染されていたのはこの豊洲6丁目の中のわずかな場所だけなんです。

風評被害を撒き散らしている人はウソつきと呼ばれる前にぜひこちらの東京都中央卸売市場のWebサイトを読んでみることをオススメします。

→ 関連:豊洲新市場予定地の土壌汚染はどうするの?

今回は築地市場の豊洲への移転でつまづいている現状の中から、実際の問題と解決済みの問題、また、どうでもいい問題が混在している点を整理し、豊洲に悪いイメージを持っている人の誤解を少しでも解きたいと思い、記事にしてみました。この記事を書くにあたり、素人ながら出来る限りの資料に目を通したつもりです。ただ、すべての情報を記載するのはメッセージが伝えにくくなると思い、多少省いている点はご理解いただきたいです。

 

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「計画と違う」「費用が高すぎ」は移転延期とは関係ない問題

まず、盛り土が無いといった指摘は正直どうでもいいものです。盛り土の存在が地下水の上昇を防げるものではなく、盛り土があっても地下水は上がってきます(それを防ぐために地下水排水システムが存在する)。なので、盛り土の件は移転を先延ばしにする要因とはなりません。

誰が計画を指示したとか建設費が従来よりも高くなっているとか、消費者にまったく関係ないそういう議論は東京都で勝手にやってほしい。情報を整理してみれば一目瞭然です。豊洲市場の開場に大きく立ちふさがっているのはたった1つ。土壌・地下水汚染の問題だけです。

→ 関連:豊洲新市場の地下室は、盛土よりも衛生的で安全である、という技術論=内閣官房参与 藤井聡

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「地下水を気にしすぎ問題」

ちょうど『築地ワンダーランド』の完成披露試写会に行ってきたのと同日の9月29日、豊洲市場の201ヵ所ある調査ポイントのうち3ヵ所で環境基準を微量に上回る有害物質(ヒ素、ベンゼン)が地下水から見つかったとの発表がありました。これまで7回のモニタリング調査が行われてきて、8回目にして初めて環境基準値を超えたそうです。

これはあくまでも速報値レベルであるとのことですが、事実として受け止める必要があります。さらなる対策が求められるかもしれません。しかし、地下水が問題になるのはどんなシーンなのか考えたことはありますか?

実際、地下水を市場で使うわけではありませんし、ましてや口にするわけでもありません。よく考えればそんなに地下水って関係ないんですよね。普段から生活してても地下水に触れる機会はありません。逆に、自分が今住んでいる土地の地下水がどうなっているのか知っている人はどのくらいいるのでしょうか。家選びの際に地下水を気にしましたか?公園で子どもを遊ばせる際にその公園の地下水がどうなっているか調べましたか?

降雨によって地下水が上昇し、それが市場の敷地に溢れ出すのではないかと心配する人もいます。そのような事態に対処するために「地下水管理システム」が用意されているのですから、たとえ地下水が上昇してきても計画通りと言えます。これはビルがいつ起こるかわからない火災に備えてスプリンクラーを設置し、実際に火災になったらスプリンクラーが活躍して火災を鎮火してくれるようなものです。そんな例えをしてみましたが、地下水管理システムは常に作動するようになっています。地下水管理システムによって地下水の水位を抑える仕組みは東京都中央卸売市場のウェブサイトでPDF資料が公開されています。

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法律の規定を大幅に上回る十分な対策をすでに行っている

そして、大袈裟で行き過ぎた報道は豊洲エリア全体への風評被害へとつながっています。確かに豊洲は土壌汚染がありました。しかし、すでに処理が施されていますし、土壌汚染対策法に定められている以上の対策を実施しているんです。

土壌汚染対策法では土壌汚染の対策について、“表面に50cm以上の盛り土をするか、3cm以上のアスファルトまたは10cm以上のコンクリートを敷設すること”とされています。都は盛り土だけでなく、一度すべての土を削り、そこに4.5mもの盛り土をする計画を進めました。実際には盛り土の高さが計画以下だった点が問題視されていますが、それでも十分な対策を行ったのです。都の計画への批判と土壌汚染の問題はまったくの別物で、土壌汚染対策はすべて完了しているにも関わらず、世間からは豊洲はまだまだ汚染されたままだといったムードがあります。完全に風評被害です。

また、建物建設前に実施した調査では豊洲市場の敷地面積のうち36%が汚染されていましたが、汚染されていない64%のエリアも含め、全ての土をA.P.+2メートルまで掘って取り除いたのです。この「全て」というのがポイント。

“ガス工場操業時の地盤面からA.P.+2.0mまでの土壌を全て掘削します”

→ 関連:豊洲市場土壌汚染対策工事の進捗

補足のため解説しておきますと、「A.P.」とは隅田川加工霊岸島の量水標の観測結果を解析したものを「霊岸島量水標零位」(「Arakawa Peil」=オランダ語で荒川の水準線の意味)といい、略して「A.P.」と呼ぶようになりました。隅田川なのに荒川なのでややこしいですね。。。明治16年に旧日本軍陸地測量部が東京湾中等潮位を決定したときの基本水準面の高さです。これが荒川工事基準面となっています。ちなみに、東京湾平均海面は「T.P.」といい、A.P.+1.134mの高さをT.P.±0mとしています。

 

したがって、本来ならコンクリートで覆うだけで十分であった汚染対策を盛り土どころかA.P.+2mまでわざわざ掘って土を入れ替えたわけです。汚染の高かった地点はほんの一部でしかないのに、敷地すべての土を。

加えて、想像を絶するほど大規模な工事を行い、万が一のことがないように対策が施されています。例えば、合計3,000本もの鋼管矢板遮水壁や三層遮水壁による水漏れ対策、砂杭や静的締固め、格子状固化工法による液状化対策、48ヵ所もの地下水管理井戸での大雨対策などです。

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(建設中の豊洲市場/2015年5月16日撮影)

調べてみてわかったのですが、大規模な大雨の際にも地下水の上昇をA.P.+2.0m以下で維持できる最先端の地下水管理システムが本当にすごい。仮に地下水が汚染されていたとしても、このシステムのおかげで豊洲市場の建物までは地下水が上がってこられないんです。

→ 関連:地下水管理に関する説明資料

 

大好きな豊洲の良さをもっと拡めたい

筆者は豊洲に引っ越してきてからまだ3年目ですがこの街が大好きです。水辺が多く、のどかで、それでいて都心や羽田空港にも近く、豊洲からディズニーランドのある舞浜駅までは15分で行けます。10月30日(日)にはハロウィンパレードが行われ、11月12日(土)・13日(日)には「江東湾岸まつり」、同じく13日(日)には豊洲マラソン大会が行われます。

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ほかにも、豊洲では頻繁にたくさんのイベントが開催されているほか、水辺を歩くだけでも楽しい街です。

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豊洲のいたるところには石川島播磨重工業の造船所だった時代を思い起こさせるオブジェがあり、今はもう廃路線となった都営の貨物列車(豊洲線と晴海線)の走っていたころの線路があちこちに埋められていてカッコイイ!

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おいしいグルメやスイーツもありますし、有楽町駅からたったの8分、渋谷駅からも25分で来られるほどアクセスは良いですから、ぜひ遊びに来て実際の豊洲を知ってほしいです!

豊洲で暮らしている人、豊洲で働いている人、豊洲に遊びに来る人のため、今後もとよすとは豊洲の魅力を発信していきます。

(とよすと運営者アスカ)

 

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